伊藤博彦(高16回)

私は福高2年生の時にAFS(American Field Service)留学生試験に合格し、3年生の一学期終了後(1962年夏)から1年間、アメリカ・ヴァージニア州キングジョージ高等学校へ留学しました。当時は海外渡航制限・外貨規制下にあったため、アメリカ側の無償招待によるAFS以外には高校生の留学の道はない時代でした。
AFSとは第2次世界大戦の頃には傷病兵治療に活躍したアメリカの組織で、戦後は平和な世界再興へ向けて世界中の高校生をアメリカに1年間無償で留学させる活動をしていました。
学校では9月からの新学期に高校3年生として編入、翌年6月に卒業。学校挙げて歓迎してくれ、私が持参した福高生の様子を卒業アルバムに掲載してくれたりしました。日本の高校に比して「自由で豊かな」高校生活を体験しました。
留学中には、ソ連がミサイルをキューバに持ち込もうとし、アメリカがこれに反対し、核戦争の恐れが高まった、いわゆるキューバ危機があり、学校でも防空訓練をしたほどに緊張した時もありました。
帰国前には各国から来た全米中のAFS留学生がホワイトハウスに招かれ、ケネディ大統領からスピーチを頂きました。帰国後は福高3年に復学し、第16回生として卒業。その後、日本航空に就職したのですが、やはりアメリカ留学による海外志向が職業選択に影響を与えたように思います。
駐在中にはニューヨークから車で第二の故郷ヴァージニアを訪問しました。ホストファミリーの家を訪ねると、そこにいたのは30年前にベビーシッターをしていた隣家の子供でした。その子が成人し、私が住んだ家を購入して改修していたのです。まさに映画の一シーンのような30年ぶりの邂逅でした。

どんなにIT革命が進んで情報が行き交い、現地を訪れることなく仕事が出来るようになったり、世界が狭くなったとしても、直接的な人的交流の意義は大きいと思います。幸いにも渡航制限など無い現在ですので、後輩の方々も大いに海外へ目を向け、出かけて欲しいと思います。政治・経済・文化すべての面で、日本だけでは生きていけない時代です。この海外諸国との連携が必須な時代こそ、海外を知る意義は大きいです。

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