岩水良和(高23回)

オオタカの顔の違いが分かりますか
タカの1種オオタカ、同窓会で20年ぶりに昔の仲間に会う。もちろん、学生服がスーツに変わっている。笑顔、ちょっぴり緊張した顔、すまし顔……でも、分かるのです。懐かしい個性との再会なのです。
それに比べると、「鳥の顔」を見分けるのは、とても難しいのです。庭先で遊ぶ3羽のスズメ、ゴミ置き場の5羽のカラス、その中の1羽を追い続けられますか。鳥の顔は小さい上に個性が見えにくいから、それが困難なのです。
日差しで光沢が変化し、風が吹くと羽が乱れるなどして確認するには不確定要素が多く、識別するのは手ごわい相手です。鷹匠は「鷹に個性はある」と言います。同時に「野外での識別は、まず無理でしょう」と付け加えます。
オオタカは蒼鷹(アオタカ)の転読です。カラスと同じサイズなので大きいという人は少ないものの、とにかく精悍です。あの家康がオオタカによる鷹狩りを好んだことは、よく知られています。
そして今、長野五輪、愛知万博、空港、道路、ダム、原発など、大掛かりな開発事業のたびに「オオタカの生態環境を守ろう」というスローガンの文字とともにオオタカの顔がTシャツにプリントされたりします。

建設事業と自然を深く理解すること
建設事業には「良いものを造りたい」という理念があります(あるはずです)。事業者は、ともすると自然を深く理解することなく「良いもの」を造ってきた傾向があります。それで納得していて、それが通ったのです。ところが、一事業者の「良いもの」に疑問が出されるようになったのです。理念を説明し切れない事業が拒否されるようになったのです。
となると、事業者は理念あるいは事業計画を再構築し、説明するための資料を集めることになります。しかし、「裏山に棲んでいるオオタカは、事業でどうなるの」という疑問に答え得る資料は、まずありません。
そこで、事業者は私のような「鳥屋」に現地調査を依頼することになります。
「鳥屋」は考察を加え、対策案を添えた調査結果を示すわけですが、これに時間がかかるのです。最低1年、最長10年以上かかって、それが現実という時代になったのです。
野生のオオタカは田畑や市街地の上空にも現れますが、巣は樹林の中に作ります。つがい(夫婦)でテリトリーを形成するので、隣の巣との間は2キロメートル程度(以上)離れています。樹林が広がる地域では、2キロメートルの網目状に巣が分布することになります。
しかし、そこは翼がある鳥のこと、例えば、ある巣の周辺に5羽が同時に出現することがあります。「鳥屋」としては5羽のうち、つがいの2羽を特定したいわけで、それが出来るようになれば考察は深まります。そんなわけで、60倍の望遠鏡を覗きながら、1キロメートル先の樹の上に止まる2羽の識別に関心を持っています。しかし、これがまた、時間がかかりそうです。

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